臨書の世界

古今寄りの名書を臨書する 

ラスコー記

それにしても、旅というのは何とか成るものだ。 変な自信を持つ。

今日のような時に、もし連れが居たら5倍位の神経を使う事になるだろう。

こんなところが一人旅の良いところだ。

予約時間より3時間遅れでブリーブに着く。

フランス南西部、ペリゴール地方と呼ばれている先史時代の遺跡の宝庫だ。

ピレネーもそう遠くはない。

初めての土地は成るべく午前中に到着するようにしている、少し遅れたがまだ日は高い。

駅前のホテルにブリーブ最後の日の予約を済ませ、直ぐ、隣のUROPCAR,

予約してある明日からのレンタカーを今日からに変更の交渉、OKだ。

ブリーブのYH、実に感じの良いおばちゃんが出迎えてくれた。

部屋まで案内し、電気、トイレ、部屋の鍵、 そして、夜11時以降は閉められる表玄関の鍵の開閉の仕方まで手を取るように教えてくれた。

今夜の客は、もう一人のアメリカの老婦人と二人だけとか、 あんまりも居心地が良いので、 「もう1日、宿泊追加出来ない?」 「NO、残念、明日は満員ヨー」 と目と手と口をいっぱいに広げて首を傾ける。 明日は土曜日だ。

「少し行ったCADOUINと言うところに、今度出来たばかりのYHがあるわよ、 そこならレセジーやラスコーも近いから洞窟巡りに絶好だし、とっても良いところよ、そこなら紹介して上げるわ」 と住所、電話番号、簡単な地図を書いてくれた。

さて、と5日間の計画を練る。 この辺のドライブコースの本も昨日無くしてしまっている。

もう一度練り直しだ。

さっき駅で整えた地図MICHELIN、 畳二畳程ある3枚の地図を繋ぎあわせた中央あたりがブリーブ。 今回の旅の芯、ラスコーはブリーブから北西へ30km程のモンティニャック(Montignac)村

にある。

$旅物語

その先がレセジ、いよいよ夢にまで見た先史時代の洞窟画にお目に掛かれる。

おばさんに紹介されたCADOUINは直ぐその先、 ここから5、60KM、車ならつい目と鼻の先だ。

洞窟巡りはCADOUINを拠点にするのが好都合のようだ。

丸5日間あるから、2日間は周辺を巡り、3日間は洞窟巡りと、決める。

翌朝、おばちゃんと写真に収まって、出発。

$旅物語

明後日の夕方までにCADOUINに入ればよい。 今日明日は行き当たりばったりだ。

おばちゃんが 「今日はどうするの?」 と心配顔で送ってくれる。

今日は、ブリーブから南西へ、 ロカマドゥール、FIGEAC、時間があれば、

ロートレックの故郷アルビまで足を延ばそうかな、 $旅物語

など考えながら街を出ようとするが、なかなか街から抜けられない。

こんな時丸い街は便利だ、決まるまでぐるぐる廻っていれば良い。

一回りするのに10分と掛から無い小さな街だ。

やっとそれらしき方向を見付けて街を出る。

見当つけた道よりも一本東にづれた道らしいが、 田舎道で快適そのもの、真っ直ぐな道だが向こうの見通しは悪い。

丘を上がったり下がったりして尾根を越えるからだ。

いい気持ちで飛ばしていたら、どこの国でも見られる風景、 $旅物語

見通しの良い一本道と思っていた道が何時の間にか若干カーブしている。