臨書の世界

古今寄りの名書を臨書する 

フランス ペリグー地方の旅 cadouin2

突然、あの歌声が響く、その声の方へ人が流れる。

バーの人達も立ち上がった、私も人の流れの後につく。

何時の間にか燃え盛っている大きなたき火の前で、

紺の上着に白いパンツに揃えた彼等がキチンと整列して歌っている。

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たき火の反対側はお祭りの連中が聞き入っている。

さっきあれほど騒がしかった連中も美しいハーモニーに神妙に聞き惚れている。
一曲終ると盛大な拍手、拍手が止まらない、アンコールだ、結局、ドイツ民謡を三曲歌う。

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歌い終わると、彼等は蜘蛛の子の様に散る。

いきなり宙返りする奴、電話ボックスに駆け込む奴、キャーキャーと普通の子供になる。

 

この間にも祭りは進行する、焚き火の上の飛び越しが始まった。

日本でもこれと同じ風景を見たことが有る、

老若男女が右から左へ、左から右へ、飛び交う、前後も始まった。

狂的とさへ思えるほど、皆陶酔して熱中する。

これを飛ばないと悪いことが起こる、そんな風だ。

ひとしきりして、またコーラスが始まった。
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さっき、バーで一緒に飲んでいて二人も、
それぞれ男性に寄添ってうっとりとした顔で聞き入っている。
蜘蛛の子が一糸乱れぬハーモニーとなる不思議、最後まで聞き惚れる。
 
バーに戻って、支払おうとすると、要らないというゼスチャー、
「LAURENCEから貰った」
と判るまで時間が掛かった、彼女が私の分まで支払ったらしい。
ここまで来て女性に酒代を支払わせるなんて、日本男児としたことが..
ツベコベ言っても仕方ない、後で日本人形でも送って上げよう。
 
部屋に戻って広場を見ると、焚き火の残り火だけが紅く光っている。