ドンムを観ないで死ぬのは..
広場に並んだ市で、リンゴとフォアグラを仕入れ、
LAURENCEにもう一度礼を言ってYHを後にする。
丁度、
広場に入ってきた車から降り立った40歳くらいの品の良い日本人女性が怪訝そうにわたしの顔を見て、直ぐ眼を伏せた。
「こんな所に日本人が..」
とでも言いたげに、連れの男と回廊の方へ静かに歩き去った。
これが、ブリーブに来てから始めて見る日本人だった。
ドンムを目指す、時間があればサルラも観ておきたい。
谷の向こうにドンムが全貌を現す。
「ドンムを観ないで死ぬのは.....」
とか、言われているらしいが、一方を川に、一方を断崖絶壁にした城塞は見る者を圧する。
百年戦争、宗教戦争の遺跡が残り、中世の大きな石門がシンボルになっている。
観光客が多すぎる、
中世の匂いのする裏町も人でいっぱいだ。
ずらりと並んだお土産物屋を冷やかす、木の細工品が多い。
此所で買った木の柄の折り込みナイフは絶品だ。
ドンムでゆっくりし過ぎた、サルラは省く。
ブリーブの街に入る前にガソリンを満タンにして、レンタカーを返す。
10%引きと言う。
「確か25%引きと聞いていたが」
と粘る、紹介元のコルマールのユーロカーに電話を入れてもらって納得、
休日料金で安くなっているからとのことだ。
日本では考えられない安さだ。
これには多少仕組みがある、コルマールの友人の会社はユーロカーの上顧客、
上顧客には特別割引がある、これはヨーロッパ全土のユーロカーに通用する。
レンタカーを使う時はなるべくコネを利用することだ、思わぬ割引が有る。
ユーロパスは便利なようで不便だ、熟慮して決める必要が有る。
いろんな種類のパスがある、勿論値段が違う。
私が買ったのは、2ヶ月間有効、7回の使用可能、
ヨーロッパ5カ国、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、スイス、
の何処へ行ってもよい、座席指定、寝台車で無ければ予約無しでも自由、
何処で乗っても何処で下りても構わない、
という奴だ。
結局、今回はフランスとイタリアだけ、スイスは汽車でかすっただけ、
計算はしてないが、
普通に切符を買ったのと変わらないかもしれない。
ユーロパスのメリットを不消化な感じだ。
要所要所の、YH、ホテル、列車は日本で予約してきたが、
YH以外は予約不要のようだ、何処にでも予約の窓口がある。
ガイドブックは、
例えば、「フランス」よりも「アルザス」「プロヴァンス」の方が当然ながらキメが細かい。
但し荷物が増える。
予約済みの駅前のホテルへチェックイン。
いよいよブリーブともお別れだ、洞窟も半分も観ていない。
心残りの街も沢山有るが、まあ、ラスコーを見ただけでも・・・
旅とはこんなものだろう。
完