臨書の世界

古今寄りの名書を臨書する 

出羽三山記 (3)

湯殿山宿坊、

Tさんの甥御さんが脱サラして、神官となり此処に奉職している。
甥御さんが笑顔で出迎える。
空気が爽やかだ。



 

朱の大鳥居が青空に向かい聳え立つ。


(Kさん撮影)

甥御さんの計らいでお神酒をたっぷり頂く。

 

湯殿山お神酒で払ふ暑気払い

飲み疲れて闇の中に出る。
星に詳しいTTさんが語り出す。
「あれが火星、北極星、あれが○○座...」
一同が空を見上げる。
誰かが叫ぶ、
「おー、天の川だ」
始めは大きな星しか見えなかったが目が慣れると、
小さな星が輝き出す。
まさか、天の川が...
「やー、ホントだ、天の川だ」
確かに天の川が佐渡の方向に向かって流れている。

「さあ、一句」
が仲々出てこない。

銀漢や聞かぬ語らぬ湯殿山


翌朝、湯殿山神社本宮。 
「語るなかれ」「聞くなかれ」と言われる修験道の霊地だ。
出羽三山の奥宮とされる此処は、写真撮影禁止、
参拝は土足厳禁、靴を脱いで裸足になる、厳しい。
社殿は無い、御神体は茶褐色の巨大な岩、その巨岩の真上から温泉の湧き出る。
素足の足裏に温泉が心地よい。
自然崇拝の原形だ。
五穀豊穣・家内安全の守り神として信者が絶えない。

 語られぬ湯殿に濡らす袂かな  芭蕉

芭蕉が月山より湯殿山へ下りた時に詠んだという。

涼しさや湯殿山なる御神体