臨書の世界

古今寄りの名書を臨書する 

続々昆明記6

羅平の菜の花畑

昆明から東方230km程の羅平、ここは菜の花の名所、
今が花盛りと聞いて行く気になった。
久し振りに、車窓からの眺めを楽しもうと汽車で行くことにする。
この辺りは、何億年前の海底が隆起した地層、
日本では余り見られない風景が続く。





最近の日本の新聞に、昆明の西方の禄豊と言うところで、
100体もの恐竜の化石が確認され、恐竜の墓場ではないかとか。

230kなら汽車で3時間位とたかをくくったが、何と、6時間、
流石にぐったりする。

駅を降りると直ぐ、
「菜の花は何処へ行けば見れるのですか」
と尋ねると、
「メイヨー、既に花はもう散ってしまったヨ」
そう言えば、「今が盛り」と聞いたのは、1,2週間前、
Sを気にしている内に、時間が経ってしまったのだ。
1,2週間前は客で一杯だったと言うホテルも道路も閑散としている。

 


翌朝、兎も角、菜の花畑へ急ぐ。
タクシーが郊外に出ると、一面に菜の花畑が広がる。
しかし、一面の緑、僅かに黄色い花が点々としている。

菜の花畑の真っ只中に私を下ろすと、
「この辺りが見所だよ」
と言い残してタクシーは街の方へ帰って行った。

頭位の背丈の菜の花をかき分けて小山に登る。










壮観だ。
黄色の世界を予想していたが、緑の世界も捨てた物ではない。
緑の香りを胸一杯に吸い込み、旅の醍醐味を吐き出す。
小山の頂で仰向けになる、時折、人声が聞こえてくる。
下界を覗き込むと、畦道をゆっくりと農民が通り過ぎると、
静寂が訪れる。

 





尾瀬は水芭蕉の季節が最も良い、と言われるが、
晩秋に訪れた尾瀬の紅葉は忘れられない。
ここも、菜の花の羅平を知っていても、
緑の羅平を知る人は少ないのではないだろうか。

つづく