臨書の世界

古今寄りの名書を臨書する 

続々昆明記10

西双版納のジノー族

午前中、私は授業、その間Bは専ら美味い物を求めて辺りを彷徨している。
午後、合流して一緒に食事をするのだが、彼は肉食、それもゲテモノばかり、
そんなゲテモノをツマミにビールを飲むのも慣れて来た。
そんな日が幾日か続いて、彼は麗江へ出掛けて行った。

折から、西双版納では、雲南でも屈指のイヴェント、
水を敬うタイ族を中心にした水掛け祭りが間近い。
今年はタイ暦の1364年、そして、この時期はタイ暦の新年に当たる。
タイ族の善男男女が神に祈り、
神からの授かり物である水をお互いに掛け合い祝福し合うのだ。

何回か来ている雲南だが、まだ水掛け祭りは観てない。
こんな機会は滅多に無い、涙を呑んで一週間学校を休み、
Bと西双版納で落ち合う事とする。

昆明から南へやく500km、30分ほどで、西双版納の中心、
景洪市、海抜1800mの昆明から海抜200mか300m?の西双版納、
飛行場から外に出ただけで我慢ならない蒸し暑さだ。
ラオス、ミャンマーとの国境は直ぐ其処だ。

お祭り一色に塗りつぶされた街、宿の女の子の笑顔の出迎えが嬉しい。

 

「旅の目的はまず喰う事」と豪語するBらしく、たったの一日の先行で、
既に、何軒かの食べ所を見つけてあるのには恐れ入る。
何軒かの詳細のリストの中から、
「何が喰いたい?」
から始まる。



タクシーをチャーターしてジノー族の村落を訪ねた。
ジノー族は、諸葛孔明雲南遠征の際の蜀兵の末裔が此処に棲み残ったとされている。
 

ジノー山と呼ばれる丘陵に竹製の家屋が点々とへばりついている。
 

長閑だ。

たまに行き交う女達の背負うジノー族独特の背負い袋が印象的だ。

 

一軒の民家に入り込んでみる、食事の最中、
「食事済んだか、食べて行け」
と声が掛かる。 壁の立て板の隙間から外光が洩れて来る。
壁に掛かっている例の背負い袋を見つけて、
「あれを譲ってくれないか」
「これは内の者が使う物で売り物ではない」
何とか交渉して譲って貰う。
「これはその辺で売ってるものと違って完全な手作りなので、25年は使えるぞ」

成る程、至極丈夫そうだ。

雲南の少数民族の中でも低開発民族と聞いていたが、
若い女性の身なりは昆明の若者の姿とそう変わらない。



近くの、ジノー族の一部落が住み着く一山全体を、やや、
観光地化させた博物館のような所に立ち寄る、まだ真新しい。
入山料を払うと付いて来た若い女性がガイドさんとは気が付かなかった。



ジノー族の由来、この山の由来、民家の内部の事等々、
延々と説明してくれるが半分も理解出来ない。
山の頂上では、ジノー族の民族舞踊が披露される。

 

蜀兵の末裔らしく勇壮な踊りだ。

つづく