臨書の世界

古今寄りの名書を臨書する 

続昆明記 16

大里 喜州

喜州は古来からの大理の軍事・経済の要所、白族の古い軒並みが随所に残っている。
もう一つは、白族の民族料理「海水煮海魚」が食べてみたいのだ。

バスを降りたのは普通の民家のど真中、右も左も判らない。
通りかかったバイクタクシー、小母さんの運転だ、メモに、
「三方一照壁」
と書いて渡すと、おばさんは無愛想に頷いた。
姿格好の割には大きなエンジン音を出して、ものの、4,5分して着いたのは、
ちょっとした広場、どうやら、此処が喜州の中心らしい。
近くの露店のおばさんにメモを見せると、
「そこだよ」
と顎をしゃくる。

「三方一照壁」、どんな意味なのか興味が沸く。
民、清時代の貴族?豪族?豪商?の旧居だ。
白族の旧居らしく白が貴重だ。
ただ、中国の古い家屋に見慣れたせいか、オッ、と言うような感動は覚えない。





シーズンオフで客は疎らの上、私がいかにも貧しい中国人に見えたのか、
案内の美人達は座り込んだままお喋りに忙しい。



思い切って尋ねてみた。
「三方一照壁って何ですか、何処に有るのですか」
女性の一人が立ち上がって案内してくれた、
「此処です」
と言って何か説明して、またお喋りに戻った。

一寸した広場を挟んだ三方にこの字型に三階建ての部屋、残る一方が白壁になっている。





白壁の上端と両端に帯状の書画、バックの青が鮮やかだ。
当然、観賞用だろうが、
どんな人たちがどんな気持でこの壁を眺めていたのか興味が沸く。
姿形は変えても竜安寺の石庭を連想する。
二階の欄干から眺めているうちに、何かわびの様なものも感じ始めた。