臨書の世界

古今寄りの名書を臨書する 

続昆明記19 剣川・寶相寺、剣川の民家

剣川・寶相寺、剣川の民家

石鐘寺から山道をくねくねと6km程のところで車が止る。
左側の山頂が寶相寺だと言う、見上げただけでゾッとする高さだ。
入り口に屯していた屈強な男達が寄って来た。
所謂、駕篭かきだ。
言い値の半分に値切って籠に乗る。



流石の男達も急勾配の石段に息を弾ませる、途中で小休止だ。

聳え立った岸壁に食い込むように寺院がへばりついている。

  

 



幾つかの寺房の間を迷路のような桟道で連なっている。
創建は北宋時代だが、現存するのは清時代に再建されたものだそうだ。

泥人形の様な仏像、と見たが、現在製作中の仏像だ。
暫く、仏像製作の現場を見学する。

 

ここの仏像、狛犬も一味違う。
それ程古い物ではなく、それ程新しい物では無い様だが、

 



黒光りする艶が、今尚、現代の人々にも崇められている様を示している。

帰りがけに一悶着有った。
寶相寺からの帰り道、運ちゃんが、
「??寺へも行くのか?」
「そうだ」
「かなり寄り道になるので別料金になる、あと20元だ」」
話が違う。

??寺も含めるのは、宿を出る前に、受付けの女性と交渉済の筈だ。
これこれこういう訳だ、と説明しても頑として、
「聞いてない」
を貫く。
??寺の菩薩像に一目会いたかったが面倒になって山を降りる。

宿へ着いたが、どうも、腹の虫が収まらない。
受付の女性に、
「約束の??寺に行ってくれなかったので」
と20元引いた料金を支払おうとした。
運ちゃんが怒り出した。
「私はこの女性と契約したのだからこの女性に支払う」
性格の良さそうな女性がしきりに運ちゃんに説明する。
人だかりが出来た、その中の口の達者な女が言う。
「あそこまで行って??寺まで行くのなら、200元プラス20元は妥当だ、安いくらいだヨ」
当然ながら、人だかりは、皆、運ちゃんの顔見知りだ。
私も意地になって頑張る。
「そうかも知れないが、約束は約束だ」
たったの20元の話だが、あの菩薩像に会えなかった口惜しさが募る。
「ホテルのマネージャーを呼んでくれ」
「マネージャーは関係ない、受付の女性も関係ない、あんたと俺の問題だ」
運ちゃんも後に引けなくなったらしい。

どうも、受付の女性が運ちゃんへ充分な説明をしてなかったらしい。
受付の女性は困惑したように下を向き出した。
私はホテルと契約すしたつもりだったが、
受付の女性が親切に、直に、運ちゃんを紹介してくれたらしい。

年配の女性が運ちゃんに説得したようだ。
私の方を向いて言う、
「180元で良いそうだよ」
受付の女性に200元渡すと20元お釣を寄越した。
その20元を運ちゃんに手渡とすると、今度は運ちゃんが受け取らない。
私が何とか運ちゃんのポケットに捻じ込もうとすると、
運ちゃんは身をよじって逃げ回る。
みんなが笑い出した。
運ちゃんも白い歯を出して逃げ回る。
結局、受け取って貰えなかった。
しかし、気分が晴れた。


夕方、剣川の街を散歩する。
未だ、観光化されていない街には普段の白族の生活がある。

 



大きな荷を背負った女性達が黙々と歩む。



石造りの塀が続く、どの家にも石の門がある。



 

その一つの中を覗いてみると、少年がニコリとした。
「君は白族?」
と尋ねると大きく頷く。

小さな街だ、少し歩くと田園風景が盆地一杯に広がる。