臨書の世界

古今寄りの名書を臨書する 

チベット記6 梅林雪山にお別れ

翌早朝、

自分でも「よくまあ!」と感心するくらいにくっきりと目が覚める。

人間の欲望とは不思議なものだ。

やっと、電話のある場所を探し電話するが返事がない。

何回か電話したが駄目だ、彼の運ちゃん、眠り込んでいるらしい。

諦めて、タクシーを捜すがタクシーらしきものは見当たらない。

大きなホテルへ飛び込み、タクシーを頼む。

「OK、直ぐ来る」

待てど暮らせどタクシーは来ない。

次第に明るくなってくる。

梅里雪山のあたりには雲が掛かってるようだ。

バスの出発時刻も迫ってきた。

「多分、この雲では梅里雪山は見えないだろう」

と自分に言い聞かせてバスの乗り込む。

ところが、

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昨日向かったバス道の向こうにくっきりと梅林雪山。

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あの若い運ちゃんの奴め! 悔やまれてならない。

しかし、此処まで来て幾日か粘って梅里雪山を目にする事が出来ない人が多い、と聞く。

何度も振り返り振り返りするうちに悔みが消えて行った。

外国人証明書不所持のお陰で、長年の念願が適った。

旅とは面白い物だ、こんな醍醐味があるから止められない。

やがて梅林雪山は雲の彼方に遠ざかった。